先日、地元で古くからお世話になった人が亡くなった。
突然の訃報にアタフタして、
あちらこちらからかかってくる電話に対応しているうちはそうでもなかったが、
落ち着いて、一人の部屋で故人との遠い記憶を辿っているうちに、
ずいぶん遅れて悲しみが押し寄せて来た。
母を亡くした時もそうだった。
大きな怪我が、その場では痛くないのと同じだ。
まだ、ギターを初めて間もない頃に、
暇になるとは意味もなく楽器屋に出かけて行って、
買う予定もないくせに色んなギターを試奏させてもらっては、
夢を膨らませていた頃、その人は店員だった。
「おまえの弾くギター好きだな」
たぶん、初めて僕の弾くギターを良いと言ってくれた人だと思う。
きっと、ただの騒音だった僕の演奏に何かを見つけてくれたのか、
それ以来、その楽器屋に行く度、話しかけてくれて、
頑張れ頑張れって言ってくれた。
きっと、それがなかったとしたら、
プロになんてなってないだろうなぁ…って思う。
けど、ちょっとした仕事の行き違いから、喧嘩別れのようになって10年近く…。
数年前に、地元の空港で、後ろから背中をバーン!って叩かれて、
誰だろうと思ったらその人で、
話しかけようと思ったら、そのままスタスタと歩いて行ってしまった。
けど、一瞬、こちらを向いて頷いた表情は柔らかかったんだよな。
もう少しで、歩み寄れるところだったはず。
こちらから、顔を出しに行けば良かったのかもしれないなぁ…。
などと考えても、時間は1秒たりとも戻せない。
最後に一度ゆっくり話したかった。
昔のように、夢を語りたかった。
その人の名は、若狭剛さん。
金沢のvanvanV4というライブハウスの社長でした。
若狭。ありがとう。
おれはダメだなぁ、しっかりしないとね。
これからも天国から見ていて下さい。
頑張るから。